王子幼稚園で卒園式 (新宮市 )
今月末で休園が決定している新宮市立王子幼稚園(山本眞也園長)で24日、卒園式が開かれた。園児11人(男8、女3)は職員や保護者から祝福され通い慣れた学舎を巣立ち、新たな一歩を踏み出した。園児らは保護者に対し、「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとうございました。1年生になっても頑張ります」と感謝を述べ、手作りのメッセージカードと歌を贈った。
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1958(昭和33)年に誕生した王子幼稚園。ピーク時の79年には138人もの園児が在園し、子どもたちの元気な声が周辺地域を明るくしていた。
83(昭和58)年に初めて入園者が100人を切り、微増微減が続いた。その後も少子化や保護者の働き方、生活環境などの変化もあり、入園児数は減少傾向へ。新年度の入園希望者がおらず、休園する運びとなった。
同園所蔵の資料から主な行事を振り返ると▽69(昭和44)年9月の始業式ではプレハブ園舎を使用▽74(昭和49)年、王子小学校のマラソン大会に初参加▽同年8月プレハブ園舎取り壊し作業が開始され、王子青年会が奉仕で備品類を小学校へ運搬▽80(昭和55)年3月、太地町のくじらの博物館と植物園への卒園遠足▽93(平成5)年3月に新園舎竣工(しゅんこう)式、園児も出席▽2009(平成21)年6月、お茶ごっこ▽15(平成27)年3月、国体選手のなぎなた演技を見学▽18(平成30)年11月、焼き芋パーティー―など。
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同園では17(平成29)年度から同小の校長が園長を兼任することとなり、畑下圭喜・元校長が園長を務め、18(平成30)年度から山本園長が引き継いだ。
山本園長は「児童にとっても、園児と交流することは多くのことを学ぶ良い機会になっていた。休園は大きな損失の一つ。遊びの中で学習していく幼稚園の姿は小学校にはない学びであり、私も勉強になった」。
「卒園生の方々やご家族が幼稚園の良さを地域に伝えていただけたらありがたい。園児が増え、再園することを強く願っています」と話した。
卒園する園児たちに対しては「素直に喜び、積極的な姿に元気をたくさんもらった。幼稚園で学んだことを小学校でも生かして、何事にも興味を持って取り組む姿勢を続けてほしい」と語った。
(2020年3月25日付紙面より)
「宇久井海と森の自然塾」が地玉の浜清掃 (那智勝浦町 )
那智勝浦町宇久井半島の自然保全活動を続ける宇久井海と森の自然塾運営協議会(玉置之一会長)は22日、同半島の地玉(じごく)の浜海岸で漂着物を取り除く清掃活動を実施し、会員ら45人が汗を流した。
毎年この時期に実施する恒例作業。宇久井ビジターセンターから徒歩約20分の磯場には、台風など高波で打ち上げられた多くの漂着物があり、ごみの種別もペットボトル、空き缶、空き瓶、スプレー缶、ロープ、漁の浮きに使われた発泡スチロールなどさまざま。町指定ごみ袋で分別回収し、大きな流木は、のこぎりやチェーンソーで小さく切断して処分した。タイヤ4本も回収した。自然塾会員の西垣内茂さんは「大きなごみや外国製のペットボトルは昨年より減ったが、細かなごみやプラスチックごみがこんなに多いとは」と驚いていた。
作業にはNPO大杉谷自然学校、休暇村南紀勝浦、那智宇久井郵便局からも応援に駆け付け、地道な手作業ながら海岸は見違えるほどきれいになった。
ボランティア参加の40代女性=同町天満=は「時々ここへ遊びに来るが、ごみの量は気になっていた。これだけの人数だと片付くのも早い」と感心していた。ボランティアには中学生と高校生の2人も参加した。
昼食時にはこの海岸でとれたフノリのみそ汁と、海岸で花開くハマダイコンが作業の疲れを癒やした。
(2020年3月25日付紙面より)
田並のさくら遠足2020 (串本町 )
串本町田並にある田並劇場が20日、イベント「田並のさくら遠足2020」を開き事前に申し込んだ24人をクマノザクラ眺望の名所「ちのと」へといざなった。
同劇場を営む林憲昭さん・澄蓮さん家族が地元住民から教わり、毎年訪れて愛(め)でている「ちのと」の山桜。その眺望場所一帯は山が深く切れ込み、山腹にある山桜の花盛りが一望できる景観に親しむ事ができる。
今時期に咲いているのはクマノザクラではないかと直感した澄蓮さんは、基本野生種としてにわかな話題になった2年前に古座川町長追在住の樹木医・矢倉寛之さんに相談。期待通りの答えを得て、以降「ちのと」を広く紹介したいという思いで前年度からこのイベントに取り組むようになった。
当日は同劇場へ集合し、案内役の矢倉さんも合流。田並川沿いの田並上集落奥まで車で移動し、その先は歩いて約1・4㌔先にある「ちのと」の眺望場所を目指した。道中に点々と自生するクマノザクラを間近に観察し、矢倉さんは自身の研究の経緯や分類学の視点、クマノザクラの花序の特色や同定時に注目する部分などを解説。お気に入りの一本を見つけてよく観察しほかのクマノザクラなどとの違いを確かめながら理解を深める筋道を立てて関心を促した。
眺望場所に到着後は、古田にある農家カフェ「つくる」の仕出し弁当を味わいながら小休憩。林夫妻によるワークショップも体験して折り返し、同劇場へ戻って解散した。
(2020年3月25日付紙面より)
社会福祉法人美熊野福祉会(森常夫理事長)は19日、各事業所(杉の郷、杉の郷えぼし寮、虹、ゆず、ワークランドそら、法人本部)の職員らに手作りマスクを配布した。職員や地域ボランティアが新型コロナウイルスなどの感染症予防のために308枚を制作。色とりどりの手作りマスクが、各事業所に明るい風を吹き込んでいる。
同法人では現在、マスクやアルコール消毒液を全体に供給しており、業者にも発注済みとのことだが、今後のマスク不足に備え、このほど職員と10人の地域ボランティアにマスクの制作を依頼した。マスクの着用徹底により、利用者や来客の健康や不安払拭(ふっしょく)に最大限の注意を払っている。
手作りマスクの利用は「待っているより自分たちにできることをやろう」という思いによるもの。橋上慶一・本部事務局長は「手作りマスクは職員やボランティアの皆さんが、善意で1枚1枚一生懸命縫い上げてくださったもの。大切に使わせていただいています」と感謝を示す。
同法人の障害者自立支援施設「ワークランドそら」が運営する「cafeそら」(新宮市佐野)では、玄関に消毒液を設置。手作りマスクを着けた職員、利用者らが調理や接客に当たっている。橋上事務局長は「最善の策を取っています。ぜひ、多くの方々に安心してご来店いただき、楽しい食事の時間を過ごしてほしい」と願いを込めた。
(2020年3月25日付紙面より)
6年目の満開まであと少し (那智勝浦町 )
6年前に鳥と人が運び、偶然が重なって育ったクマノザクラが満開を迎えようとしている。桜は那智勝浦町勝浦で左官業を営む熊代眞春さん(68)が同町南大居にある会社倉庫敷地内に植えたもの。詳しいいきさつを熊代さんに聞いた。
熊代さんが6年前、同町築地にある妻・生美(なるみ)さんの実家の雨どい(とゆ)掃除をしていた際、堆積していた土から小さな葉のある芽を発見した。木が好きな熊代さんは「ひょっとすると桜では」と持ち帰り、前述の敷地に植えたという。植えた芽は予想通り桜で、年々成長して3年後にはきれいな花を咲かせた。
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毎年満開を楽しみにしているものの、桜の種類については気に留めていなかった熊代さん。ある時、いとこの寺地恒文さん(79)が桜の標本を採り、クマノザクラの第一人者で国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所(東京都)の勝木俊雄さんに鑑定を依頼。昨年6月に結果が届き、クマノザクラであることが正式に判明した。
寺地さんによると、「クマノザクラが発見されて約4年。各地で地域活性化のためにクマノザクラを増やそうと努力されている。おそらく、桜は鳥が運んできた種が雨どいで育ったものだと思う。人間の手で植えたクマノザクラの中では一番最初に花をつけたものになるのでは」と話した。
熊代さんは「クマノザクラと分かってうれしかった。6年前に持ち帰ったことは桜にとって良いことをしたんだなと実感した。桜もきっと多くの方に見に来ていただければ喜ぶはず。そのためにベンチを設置しようと思う」と笑顔で話した。
2人によると満開は2~3日以内だという。場所は同町南大居の寺地酒屋向かい付近にある熊代さん所有の会社倉庫敷地内。
(2020年3月18日付紙面より)
国皇神社本殿前で例祭 (古座川町 )
古座川町池野山の山中にある国皇(こくおう)神社の例祭が15日にあり、関係する7区の区民約110人が参列して礼を尽くした。
この神社は、中世の南北朝の内乱を経て南朝最後の天皇となった後亀山天皇の5代目子孫・朝里重太夫が1616年に月野瀬の牛蒡(ごぼう)谷の一角で創建。1828年に13代の朝里利平が現・国王山の一角へ遷(うつ)し、例祭は麓にある旧七カ村の奉仕も得て積み重ねてきた。
近年、長寿化に伴う区役員の高齢化で尾根伝いの徒歩参拝が難しくなったため、1991年に自家用車で行ける林道沿いの池野山区有地へ遷座。旧七カ村につながる高池上部、同下部、池野山、宇津木、月野瀬、直見と串本町にある古田の7区が持ち回りで例祭を続けている。
今年は創建の地である月野瀬区(大屋敏治区長)が当番。前日の雨も上がりほどよく雲の流れる晴天の下で式典を迎え、古座神社の石田保宮司の出仕を得て7区の区役員らが本殿前に参列。代表して各区長が石田宮司に続いて順次玉串をささげ、区ごとに二礼二拍手一礼をして礼を尽くした。
式典後は本殿周囲で餅まきや各区の直会(なおらい)もあり、活気が余韻を引いた。その全体を取り仕切った大屋区長は「昨日の雨の影響を心配したが、(未舗装の)林道の状態もそれほど悪くなく、良い天気の下で無事に営めてほっとしている。7区の皆さんの向こう一年の健康をこの機会に願いたい」と話した。
(2020年3月18日付紙面より)
木本、紀南高校で合格発表
県立木本、紀南高校で17日、入学試験の合格発表があった。10日に行われた後期選抜と、すでに内定が通知されている前期選抜の合格者が発表された。合格を決めた受験生たちは4月から始まる高校生活に胸を躍らせていた。
木本高校では、後期選抜のみ実施した普通科(定員120人)に120人が受験して118人が合格した。総合学科(定員40人)は前期選抜合格者22人を除く後期選抜募集人数18人に22人が受験し、18人が合格した。
紀南高校普通科(定員80人)は、前期選抜で27人が合格。募集人数53人の後期選抜に26人が受験し、25人が合格した。
両校では、午前9時30分に合格者の受験番号が掲示された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いマスク姿で訪れた受験生が多く、自分の受験番号を見つけると「あった、あった」と喜んだ。
木本高校普通科に合格した男子生徒は「勉強はもちろんですが、自分に合った部活動を探し、そちらの面でも頑張りたい」と笑顔を見せていた。
(2020年3月18日付紙面より)
平嶋於俊稲荷神社で例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町狗子ノ川の平嶋於俊(おしゅん)稲荷神社で15日、春の例大祭が営まれた。国内外で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で規模縮小し、区役員のみが参加して神事が行われた。
平嶋於俊稲荷はいつ勧請(かんじょう)されたのかは不明だが、社の山の斜面には「狐(きつね)の穴」と呼ばれる小さい穴が三つあり、信心深い人々が、油揚げや餅を供えて祈願し、節分には豆と餅を供えているという。
例大祭は海上安全や大漁、商売繁盛などを祈願し毎年、町内や太地町から大勢の人々が参列するという。餅まきも行われ、親子連れなども多い。
石田守区長によると、役員会で新型コロナの影響を検討した結果、餅まきもやめ、役員のみの小規模な実施となった。「新型コロナのこともあるが役員だけでもやりたい。神事だけでも行うべきではと話し合った」と述べた。
神事は熊野那智大社(男成洋三宮司)の花薗龍人権禰宜(ごんねぎ)が執り行った。花薗権禰宜は「氏子さんの健康や日々の生活が豊かに暮らしていけるように祈願した。また、皆さまから新型コロナウイルスの終息もお願いされていたため、祝詞に入れさせていただきました」と話した。
宮総代の弓場一矢さんは「新型コロナを含めこういうご時世のため、規模縮小は仕方がないこと。来年には皆さんにお集まりいただき、例大祭ができることを期待している」と語った。
なお、この日は古くなった社の鈴緒に代わり、宮総代から新しい鈴緒の奉納があった。
(2020年3月18日付紙面より)
コロナ影響で卓球合宿中止 (那智勝浦町 )
国内外で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で、3月中に那智勝浦町に滞在予定だった大学卓球部の合宿が相次いで中止となった。経済的効果や町の周知、今後の来町にもつながる合宿の中止は同町にとっても大きな痛手となる。現状の詳細や今後について、合宿誘致に携わる同町在住の中西毅さん(66)に話を聞いた。
中西さんによると、合宿誘致は地域活性化や卓球競技の振興を目的に11年前から始まった。京都、大阪などを中心に大学卓球部を回り同町のPRを行ってきたという。
南紀くろしお商工会や町、町観光協会、南紀勝浦温泉旅館組合らが協力し、来町の際は歓迎セレモニーを開き、選手たちにも好評だという。
「他県と比較して気候的にも良い。体育文化会館には24台の立派な卓球台もあるため、50人までの規模の合宿なら受け入れが可能」。
選手たちが練習後に体を癒やす町内の旅館や民宿などの宿泊施設に触れ、「各宿泊施設の皆さんが、食事にも気を使い献立を考えてくれている。この町ではマグロが食べられ、温泉で体を休めることができるのも大きなポイント」と中西さんは話す。
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合宿は春と夏に実施されており、今季は5~8日に大阪経済法科大学、10~15日に佛教大学、25~29日に近畿大学がそれぞれ来町する予定だったが、新型コロナウイルスの影響を受け、全て中止になったという。「合宿はバスの移動などが主となるので、感染の可能性も上がってしまう。さらにクラブ活動も自粛となっているので今回は残念な結果となった。早期の終息を願っています」と話した。
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夏の合宿には龍谷大学、大阪商業大学、同志社大学、佛教大学が例年訪れている。
卓球合宿について中西さんは「合宿に来てもらい、技術などを向上していただくのはもちろんだが、若い世代の方々にこの町の良さを知っていただき、再び訪れていただけたらありがたい。町の活性化にもつながる」。「今後は卓球だけでなく、そのほかのインドアスポーツの誘致にも広がっていけばうれしい」と語った。
(2020年3月12日付紙面より)
クマノザクラ花の時期に (古座川町 )
古座川町池野山にあるクマノザクラのタイプ木の開花がこのほど始まり、日に日にその度合いが進んでいる。同町発表によると11日現在で「五分咲き」の段階。他方、峯の優良木、蔵土(くろづ)や中崎の群生地の一部でほぼ満開に達する木もあるなど、町全体では時間差を伴いながら開花が進む状況にあるという。
クマノザクラは2018年3月、日本植物分類学会が国内10種目の基本野生種とする森林総合研究所の研究論文を受理したことが新種として判断する節目となった。タイプ木はその過程で必要となった標本を採取した木。同町は判断の節目以降速やかにクマノザクラを町の花として制定し、節目の半年後に発足した同町観光協会も帯企画「古座川桜フェア」を展開して適切な振興に努めるさなかにある。
道の駅虫喰岩前の県道を串本町佐部方向へ約850㍍進んだ先の民有地にあり、地元の高池小児童が手作りした看板が目印。今年は3日ごろから花が見られるようになり、同町は昨年に引き続いて公式ホームページのトップページ左上のリンク先で開花の様子を平日に更新しながら情報発信している。併せて町内の観賞に適した優良木や群生地を伝える「クマノザクラMAP」も公開し、観賞時の利便を図っている。
このリンク先は従来からあるソメイヨシノの主な観賞先の開花状況を伝えるリンク先と並列で運用していて、更新を担う役場地域振興課は「現地を訪ねるときの目安として参考にしてもらえれば」としている。
(2020年3月12日付紙面より)
9682人の卒業生を輩出 (矢渕中学校 )
これまで9682人の卒業生を輩出してきた紀宝町立矢渕中学校。1974(昭和49)年に建設された現校舎の老朽化が進み、町では大規模改修工事を計画した。令和2年度内に本工事の詳細設計をし、早期に工事着工できるよう進めていく。
72回目を数えた本年度の卒業式では70人が学びやを巣立った。学校の歴史は長く、47(昭和22)年4月4日、当時の鵜殿村立鵜殿中学校として設立された。翌年、鵜殿・御船・井田三組合立中学校を創設。10月1日に開校式を行い、以降この日が創立記念日となった。
50(昭和25)年3月1日、校名が鵜殿村・御船村・井田村三ヶ村組合立矢渕中学校に決まった。51(昭和26)年10月13日には木造の旧校舎が竣工(しゅんこう)した。
71(昭和46)年2月5日、この2階建て校舎は一夜にして焼失した。「鵜殿村九十年史」にはこう記している。
「矢渕だ!中学校が火事だ」村人は取るものも取りあえず矢渕へ走った。寒い夜空をこがして、真紅の炎が大きな二階建校舎に燃え狂っている。火事場は驚きと悲しみの騒ぎが続いた。校舎の東にあった体育館と、その隣りにあった図書館だけが焼失を免れたが、焼け残った校舎は全く使い物にならなかった。(一部中略)
火災から20日後にはプレハブ7教室が完成し、授業再開となった。その後、校舎再建に取り掛かり、井田中学校との統合が実現。74(昭和49年)6月22日、現在の校舎と体育館の新築落成式が執り行われた。
2006(平成18)年1月10日、町村合併により、現在の紀宝町立矢渕中学校となった。苦難を乗り越え47年を迎えた現校舎。大規模改修では照明のLED化や防災機能の強化、床、壁の張り替えなどに取り組む。
(2020年3月12日付紙面より)
会員のみで実施 (なちかつ古道を守る会 )
那智勝浦町のボランティア団体「なちかつ古道を守る会」(太田耕二代表)は11日、同町湯川で「ゆかし潟クリーン作戦」を実施した。新型コロナウイルス感染拡大に配慮し、今年は一般参加の呼び掛けを行わず会員のみで実施した。
汽水湖のゆかし潟周辺は熊野古道大辺路が通っており、妙法山も見ることができる。湖にはさまざまな魚や生物が生息している。この景観をきれいに保つため毎年クリーン作戦を行っている。
午前10時に会員16人が喫茶きよもん駐車場に集合。太田代表は「例年より少ない人数ですが、できるだけきれいにしましょう。ごみが捨てられている所へは、廃棄が続きます。道路から目立つごみにも気を付けてください」と呼び掛けた。
参加した会員は2人組になるなどして、夏山(なっさ)トンネル付近や、ゆかし潟周辺のごみを分別しながら拾い集めた。
(2020年3月12日付紙面より)
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、2日(月)の卒業式を中止にした県立新宮高校(前田成穂校長)と新翔高校(東啓史校長)は2月28日、3年生に卒業証書を授与した。27日に県教育委員会から卒業式中止の通達を受けて、急きょ予行演習日に実施した。
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新宮高校は3年生197人(男子80、女子117)が出席。各クラスを代表して髙岡麗さん、尾鷲丈君、東口紀之君、久司侑佳さん、久保慎之介君が卒業証書を受け取った。
前田校長は「入学以来、多くの仲間と共に心の底から喜び合ったこと、涙を流して悔しがったことなど、さまざまなことを体験しながら成長してきました。皆さんの軌跡に心から敬意と賛辞を送ります」と式辞を述べ、新たな門出に際し「力必達」「豊かな共生社会を創造する」の二つの言葉を贈った。
3年生を代表して竹内裕賀さんが答辞を読み上げた。「令和最初の卒業生として、私たちがこれから新たな時代をつくっていかなければなりません。新宮高校で互いに高め合ったことを忘れず、誇らしく進もう」と高らかに告げ、感謝の気持ちを伝えて母校・新宮高校の発展を祈念した。
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新翔高校では147人(男子72、女子75)と在校生が出席した。東校長は失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦してほしいと呼び掛け、「失敗はマイナスなことと捉えがちだが、発想を転換すれば価値を生み出して新たな意味を持つことがある。世界の熊野にある、この高校で学んだ誇りを胸に、新たな目標に向かって頑張ってください」とエールを送った。
校歌斉唱後、各クラスの代表生徒が卒業証書を受け取った。皆勤・精勤や和歌山県知事、全国総合学科高等学校長協会優秀者、県産業教育振興会会長などの各賞の表彰も行われた。
(2020年3月1日付紙面より)
下里小6年生の12人が (指導室学習会 )
東牟婁地方教育委員会連絡協議会は2月27日、那智勝浦町教育センターで「第7回指導室学習会(ふるさと学習編)」を開いた。東牟婁郡内の教職員、教育委員ら約20人を前に町立下里小学校の6年生12人が10カ月にわたるウミガメ保護活動を発表した。
15日に東京大学で開催された「第7回海洋教育サミット」で活動を発表する予定だったが、直前で断念したことから、学習会で紹介する運びとなった。
同小は海岸線に面し、漁港、海水浴場、磯場、ウミガメが産卵する浜辺が近くにあり、20年ほど前から玉の浦リップルズクラブの協力を得て保護活動を続けている。児童たちは「黒潮の海をフィールドに~小さな生命が大海原へいく~」をテーマに全員で発表し、「ウミガメの保護と飼育、海の学習を下級生に引き継いでいくことが大切だと感じた」などと伝えた。
2018年4月にウミガメ事前学習で保護活動や環境保全を学び、5月には全校児童で下里大浜の清掃活動に取り組んだ。6月にふ化場で砂の入れ替え作業をし、7月2日に産卵があったアカウミガメの卵をふ化場に移した。8月24日に76匹がふ化し、9月上旬に70匹を放流した。
10月から6匹のアカウミガメを飼育し、児童たちは「カメが元気に泳ぐとうれしくなった」「貴重な経験ができた」と語った。
ふ化してから10カ月後の19年6月に放流し「今まで育ててきたので寂しかったけど、大人になったら帰ってきてほしいと思った」と振り返り、「これからも地域の人たちと一緒に身近な環境を守っていきたい」と述べた。
発表を聞いた東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターの川上真哉・特任研究員は「皆さんの訴えが大人の心に響いていく。歴史がある取り組みは磨くことで素晴らしい伝統になる。ぜひ下級生に伝えていってほしい」と話し掛けた。
この後、学習会で「那智勝浦町ふるさと読本」について作成の意図や活用方法、今後の展望などを共有した。ふるさと読本は小中学校の教諭が各地域を取材して作成したもので、小中学校の社会科や総合的な学習で活用する。また、情報をデジタル化して随時、更新するという。
(2020年3月1日付紙面より)
三重大東紀州サテライトが協力 (うどの幼稚園 )
紀宝町立うどの幼稚園(岩本小百合園長、園児32人)で2月25日、「プログラミング教室」があった。園児たちはタブレットを操作し、夢中でキャラクターを動かして遊んだ。
プログラミングとは、コンピューターに人間の意思に沿った動きを指示するプログラムを作成することで、2020年度から小学校での必修化が決まっている。
同幼稚園では、プログラミングに親しもうと昨年度から教室を開いている。教育活動支援の一環として、三重大学東紀州サテライトの大野恵理准教授らが指導した。
昨年11月に続く2回目の教室で、園児が2グループに分かれて、1人1台のタブレットを使ってアプリケーションソフト「スクラッチジュニア」で学習した。
基本操作を教わった園児たちは、画面に登場した男の子や女の子がサッカーボールを蹴るようコンピューターに指示した。ボールを蹴る前は「今からボールを蹴ります」、ゴールが決まると「おめでとう」「やったぜ」などの音声も録音した。
シュートが決まり、自分の声が流れると「やったー。できた」と喜んだ。同サテライト東紀州教育学舎特任教授の榎本和能さんは「前回よりランクアップしたプログラムで、子どもたちは集中して取り組んでくれた。考えながらプログラミングできたと思う」と話していた。
(2020年3月1日付紙面より)